臨床心理士が伝える 10代のための心のサバイバルガイド

私が普段カウンセリングをおこなっている中で、10代の方々からの相談というのも非常に多くお受けてしいます。その中でつくづく感じるのは、小学生も含め、お子さんにとっても非常に生きにくい世の中になってきているなあということです。様々な情報が溢れかえる中で、取捨選択を迫られる場面が多く、誘惑も非常に多いです。ただでさえ、発達上の課題として慌ただしい年代なのに、それがもっともっと複雑になっているような気がします。今回は10代を中心とした若い方に向けて、記事を書いてみたいと思います。

今回は知っていると得する、世渡り術についてのお話です。

目次

カウンセリングの中で10代の方々からお受けする相談の内容は多岐に渡りますが、多くは対人関係の悩み(親、友達、先生)、自分をどう理解したら良いかの悩み、事件事故に巻き込まれたトラウマについての相談、進路についての相談などが挙げられます。

今回はその中のいくつかを取り上げてお伝えできればと思います、

怒っている人からは離れる

怒っている人からは離れましょう。その人は自分の感情と戦っている最中なので他の人が近くにいると火の粉が飛んでくるかもしれません。そこで新たなトラブルが起きてしまってはもったいないです。色々な感情は人に伝染します。自分を守るため、その人が安全に感情処理できるようにそっとその場を離れましょう。

自分が怒っていたら人から離れる

上のものと同じ理屈です。感情は伝染しますから周りの人のため、自分のためにその場から離れましょう。クールダウンとも言いますが、また気持ちが落ち着いたら人との関わりを楽しめると思います。

色々な物差しがあると知る

かっこいい人、可愛い人、頭が良い人、運動神経が良い人、一人でいる才能がある人、昆虫博士、ユーモアマン、物知り博士、行動力のある人・・・人は色々は長所があります。それを測る物差しは一つではありません。この見方では苦手さが目立つけど、この見方では自分はスゴい!」というのがあるかもしれません。同じ物差しで人と比較して落ち込むことは勿体無い事です

相手の気持ちがわからない時もある

どんなに親しい間柄でも相手の気持ちや感性が分からないことはとても多くあります。なんでそんなこと言うんだろう?と傷つくこともあるかもしれません。私とあなたは違う人間とわかっていても、受け入れられない時もあるかもしれません。人との違いに驚きや関心、興味が湧いてきたらもっと仲良くなれるかもチャンスかも。

自分と他人の境界線を引く

人はみんな見えないバリアを持っています。そのバリアの中に他人が入ってくると嫌な気持ちになります。どんなに親しい間柄の人でも、されて嫌なこと、言われて嫌なことはあります。物理的な距離感(顔が近いとか、ボディタッチとか)もあるし、精神的な距離感(馴れ馴れしい、言葉使いなど)もあります。相手と関わる時に、そのバリアを意識しましょう。手探りで構いませんし、信頼できる人に聞いてみるのも良いでしょう。また、相手に自分のバリアの中に入ってこられたら、キッパリと「やめて」と言える人は言っても良いと思います。なかなか言えない人は、誰かに相談したり、その人と静かに距離を置くのも良い対応だと思います。

他人は自分の思い通りにはならない

どんなに親しい関係性でも、自分の思い通りに他人は動いてくれません。誘うことはできるかも知れませんが、そこから実際に行動するかどうかは相手が決めることです。馬を水辺まで連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない、と言うのと同じ意味です。しかし、自分の期待通りに、思い通りに相手が動かないと言うのはとても不快なことかも知れません。その時はこの言葉を思い出してください。

自分も他人の思い通りにはならない

どんなに偉い人があなたに指示をしても必ずそれに従わなければいけないわけではありません。あなたの意志を尊重して良いのです。しかし、自由に選べると言うことは責任を伴います。相手の言うことを全て聞いていたら責任は伴いにくいのかも知れません。じっくり考える余裕があれば、しっかりと考えることが大切だと思います。

一人でいる時間も必要

一人でいることに不安を感じたり、退屈さを感じることがあるかも知れません。友達や仲間といると楽しいし、充実しているような気持ちになります。もちろんそういう時間は大切です。でも一人でいる時間も大切です。一人でしかできないこと、考えられないことに向き合う時間も大切です。また気持ちや身体を休めることも必要です。一人でいる時間も、仲間といる時間も両方楽しめたら最高だと思いませんか?

合わない人とは静かに距離を置く

世の中にはいろんな人がいます。その中にはどうしても気の合わない人もいることでしょう。もちろん無理に関わる必要はありません。でも気が合わない、気に入らないからと言って攻撃したり仲間外れにしたり悪口を言ったりしていはいけません。それをするとあなたが悪者になってしまいます。もしかするとやり返されることがあるかも知れません。そのような時には、何も言わずに静かに距離をとりましょう。距離を取るというのは、必要以上に自分から関わるのをやめるということです。無視とは違うので注意しましょう。

夜21時以降は悩まないように全力を尽くす

夜に考え事をしてもろくなことになりません。人間は夜になると不安になるように遺伝子レベルでインプットされています。グルグル考えてしまうし、夜寝れなくなります。考えないために全力を尽くしましょう。過去記事を参考にしてください。

やりたいこと、将来の夢がなくても問題ない

将来の夢や、やりたいことがなくても焦る必要はありません。生きていれば興味が出ることや、楽しいことは見つかります。無責任に感じるかも知れませんが、様々な出会いが人生にはあります。

いろんな顔があってもそれは普通の事

家の顔、学校の顔、習い事での顔、色々はあなたがいて良いのです。誠実ではないとか、本当の自分はどれだ、と悩む必要はありません。全てあなたです。場所によって様々なキャラを使い分けてみんな大人になっていく、普通の事です。

自己理解しなくても良い

自分とは一体なんなのか、どんな人間なのか悩むことがあるかも知れません。今の時点で答えが出ている人もいるでしょうし、出ていない人もいます。人生の様々な出会いによって価値観というのは変わっていきます。今の自分について理解できない、受け入れられないということがあっても問題ありません。

信頼できる人に相談する

信頼できる人と言うのは、あなたを傷つけない人の事です。もしそのような人がいればとても素晴らしい事です。相談というのは相手を選んでした方が良いと思っています。あなたを尊重してくれたり、あなたのことを真剣に考えてくれる人に相談をした方が良いと思います。

世界は広い

今いる環境が合わない、気の合う人がいないという人もいるかも知れません。しかし世界は広くて、たくさんの人がいます。その中には驚くほど気の合わない人もいるかも知れませんが、今までに出会ったことのないくらい仲良くなれる人がいるはずです。今まで出会った人よりも、まだ出会っていない人の方が圧倒的に多いのです。あなたはあなたの価値観を信じましょう。あなたとの出会いを待っている人が世界にはいるはずです。

まずは身近な人に相談する

あなたのことを大切にしてくれる人、真剣に考えてくれる人に相談をしましょう。大変な出来事が起こると、それを自分の中に押し込めがちになります。一時的には良いかも知れませんが、長期的に考えると疲れてきてしまうかも知れません。

自分を責めてしまうことがある

客観的に見ると、何も責任がないことでも、「自分のせいかも」「自分が悪かった」と感じてしまうことがあります。そういう時は自分一人ではその偏った考え方から脱出することは難しいので、相談することは大切です。

自分の意思に反して身体の防衛反応が働く時がある

頭ではもう大丈夫と思っていたり、こうすべき、と考えていても、身体が思うように動いてくれないということがあるかも知れません。これは人間が生きるために発揮する防衛本能という素晴らしい能力なのですが、現代社会においてはデメリットになってしまうことがあります。身体は身体で今必要なことを確実に行なっている最中かも知れません。

自分を責めてくる人から距離を置く

大きなトラブルやストレスが降りかかってきた時に、あなたに必要なことは「正論」や「反省」「事後処理」ではありません。いかに自分の心身を安全な場所で安心させるかです。その時に正論や反省を強いてくる人からは距離が置けるなら距離を置きましょう。なぜなら安全な環境を脅かし、安心するための妨害になるからです。

専門家に相談をする

心の専門家は身近にいるかも知れません。あなたの身に何が起こっているのかを説明してもらうだけでも落ち着くことはあります。

いかがでしたか。

以上はほんの一部ですが、よくある相談を簡単にまとめてみました。

「こうしなきゃいけない」と思っていることが、案外世間的にはそうでもなかったということが多いのかも知れません。知らないうちに、変な固定観念に縛られていることはよくあることです。あなたの周りにいる、信頼できる人を探してみるのも良いかも知れません。

それではまた次の記事で。

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この記事を書いた人

静岡県浜松市にある、メロウカウンセリングオフィスを運営する臨床心理士、公認心理師。子どもから大人まで幅広くカウンセリングを行ってきた経験をもとに情報を発信していきます。感情コントロールや自分との付き合い方、トラウマケアに専門性を持ちます。
3児の父としても日々奮闘中。。。

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