人の話を上手に聞くコツを臨床心理士が解説 マニアック上級編!

聞き上手になるためのお話、上級編です。

初級とか中級もなく、いきなり上級編です。なるべく、他の記事にないようなマニアックな秘伝の方法だけを書いてみました。

今回は、知っていると得する聞き上手になるための方法です

目次

ペーシングとは相手にペースを合わせるということです。

相手のテンションや話す速度、勢いなど相手が話す様子を観察しながら、ペースを合わせる事によってスムーズなやり取りができます。もしかすると、自分は意識せずにできているとか、得意ですとおっしゃる方もおられるでしょう。それもそのはず、人には相手の調子やテンションに知らず知らずのうちに引き寄せられていくという現象があるのです。伝播と言ったり、ミラーニューロンの働きによるもののようです。

相手の話を真摯に聴こうという姿勢や、興味がありますという姿勢で望むことで、自然とペーシングができているのかも知れません今回は、知っていると得する聞き上手になるための方法です。ペーシングをすることで、相手とのコミュニケーションの速度や質が合いやすくなり、スムーズなやり取りが可能になります。また信頼関係の構築においても重要な考え方です。

さらに応用編ですが、もちろん自分の調子やテンションも相手に伝播する事になります。それをうまく使って、興奮気味の相手には敢えて落ち着いて応対したり、元気がなく落ち込んでいる相手に対して、ハキハキとした受け答えを返していくことは、その時の状況にもよりますが有効な時があります。また、自律神経系は周囲の人間に伝染するということがすでに知られています。イライラしている人の近くにいると、こちらまでイライラしてきたり、不安な人と話をしていると自分まで不安になってきた、という経験をしたことがある方もおられるでしょう。

自分の自律神経の状態というのは、自分が思っている以上に周囲の人に伝わりやすいものなのです。

これは、会話の序盤で、相手が「そうです」とか「その通りです」と言った、YESと答える機会を多く作ることで、コミュニケーションにおける信頼を得やすくなる狙いがあります。

もちろん、相手を観察したり、アセスメントをしっかりして準備しておいた方が、より質の高いYESセットをとることができるでしょう。例えば、観察やアセスメントに基づいて、「こういうことでお悩みではないですか?」「こんなことありませんか?」と言った具体的な質問や投げかけでYESセットが取れると、会話の信頼性は高くなることが予想されますよね。

ただ、反対の言葉として NOセットというのがあります。こちらの発言に対して相手が「違います」「いや、そうではなくて」とNOと答えることが多くなることを指しますが、そうするとYESセットで狙っていることと反対のことが起きてしまいます。これが起きないように、違和感のない程度でYESセットを取っていくことが重要であり、難しいポイントです。

占い師や霊能力者のようなYESセットは取れないにしても、ここを練習していくことは有意義だと感じています。

「ここのラーメンは美味しい」という感想を聞いた時に、相手の人が「美味しい」と感じたポイントはどこなのでしょうか?スープなのか、チャーシューなのか、麺なのか、トッピングなのか・・・。意外に個人差が出るポイントだと思うのですが、他の会話についても同様です。

例えば、怒っている人に対して、「この人は何に対してそんなに怒っているのか」と、怒っているポイントを探ることはとても大切です。そうすると、自分の感覚と違っていて「え、そこ!?」と驚くことがあるかも知れません。

そして、なぜそのポイントに地雷があったのか、について考えることは、それはもはやカウンセリングですよね。怒っている気持ちに対しては同調しつつ、頭の中では、ポイントはどこなのだろう、地雷はどこだったのか、考えてみるのも良いかも知れません。その人らしさが出ていたり、その人を理解する上で新たな指標になるかも知れません。

もちろん、ポジティブな体験に対して、どんなところが一番良かったのか、楽しかったのか、嬉しかったのかと相手のポイントを聞いていくこともとても大切です。

ポジティブでもネガティブでも、ポイントが自分と同じでないと仲良くなれないとか信頼し合えないということは一切なく、むしろポイントが違っていることが普通です。違っているからこそ相手を理解しよう、知ろうというモチベーションになるわけですので、興味を持って、面白がって聞いてみましょう。

また、自分が怒った時についても、同じことができると気持ちのコントロール方法になるかも知れませんね。

大前提として、相手へのリスペクトや配慮、労いという気持ちは当然必要になってきます。それを踏まえた上での方法を、専門家の目線で書いてみました。

聞き上手になるための最大の方法は、聞き方を知る、にあると思います。ひたすらずーっと共感しているとお互い疲れてしまうだけですので、 聞く時の視点やコツを掴んでいくことも聞き上手になるための大事なステップかも知れません。

皆様の理解の一助になれば幸いです。

ではまた次の記事で。

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この記事を書いた人

静岡県浜松市にある、メロウカウンセリングオフィスを運営する臨床心理士、公認心理師。子どもから大人まで幅広くカウンセリングを行ってきた経験をもとに情報を発信していきます。感情コントロールや自分との付き合い方、トラウマケアに専門性を持ちます。
3児の父としても日々奮闘中。。。

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