日々の生活の中で、自分の気持ちに振り回されてしまって疲れてしまう、いつも同じような人間関係の失敗をしてしまい、もうやめようと思っているけども繰り返してしまう…ということありませんか?
実は自分自身の心のクセというものが存在していて、やめたいとか改善したい、と思っていても無意識のうちに自分の癖の方向に押し戻されてしまうことがあるのです。
ただ、癖は治ります。そして治すためにはまず「自分の癖について知る」ことが何よりも大切なのです。行動の癖も、心の癖も基本的には同じです。それを今回は見ていきましょう。
今回は知っていると得する、自分自身との付き合い方のお話です。
自分の心の癖について知る
まず初めに、あなたの心の癖について知る上で大切な着目点、それは「きっかけ」です。
きっかけ=状況です。例えば、何かにイラッとした場合には、「イラッとしたきっかけ」があったはずです。当たり前のことだよ、と思いましたか?でもこれが大切なのです。
きっかけ(状況)というのは、誰が見ても同じ“事実“です。現実的に実際に起きている状況ですから、誰にとっても同じ事実です。
例えば先ほどの「イラッとしたきっかけ」が、“運転中に後ろからクラクションを鳴らされた”だとしたら、運転中に後ろからクラクションを鳴らされた、というのは誰の目から見ても事実ですし100人に聞いたら100人同じように状況を説明するでしょう。
では、“運転中に後ろからクラクションを鳴らされた“場合、100人中100人がイラっとするでしょうか?これは意見が分かれそうですよね。「焦っている人がいるなあ」とあまり感情的にならない人もいるかもしれません。
つまり、きっかけ(状況)が「事実」であるのに対し、それに反応する様々はものは「あなた独自の反応」になるわけです。
そして「あなた独自」の反応がこの記事で言う「心の癖」になります。
・大切なのは「きっかけ」にどう反応したのか
・きっかけ=誰の目から見ても同じ客観的な状況
・きっかけへの反応=十人十色のあなただけの反応→心の癖
心の癖についてもっと知る
先ほど、きっかけ(状況)=事実、それに反応するもの=あなた独自の反応ということを解説しました。ここでは認知行動療法という心理療法の考え方を使って4つの項目に分けて詳しく見ていきます。
- 考え
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そのきっかけによって、どんな考えが浮かびましたか?自然に浮かんでくる言葉はなんですか?
- 気持ち
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そのきっかけによって、どんな気持ちになりましたか?
- 身体の感覚
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そのきっかけによって、どんな身体の感覚になりましたか?モヤモヤしたり喉が詰まる感覚があったり体の感覚です。
- 行動
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そのきっかけによって、どんな行動をしましたか?
この見方をもとに、AさんとBさんの捉え方の違いを見てみましょう。
Aさんの場合
状況=運転中に後ろからクラクションを鳴らされた
・考え=自分をバカにしているに違いない。許せない行為だ!
・気持ち=イライラ
・身体の感覚=ウズウズしてきて体全体が熱くなる
・行動=舌打ちをしてぶつぶつ独り言を言いながらスピードを上げた
次にBさんを見てみましょう
状況=運転中に後ろからクラクションを鳴らされた
・考え=私が遅いから怒っているんだ、私って運転下手だなあ
・気持ち=恐怖、自分への呆れ
・身体の感覚=体が重たくなる、背筋が冷たい
・行動=すぐに道を譲った
Aさん、Bさん、これはどちらが優れているとかどちらが劣っている、と言いたいのではありません。同じ状況にも関わらず反応は人それぞれですよ、ということをお分かりいただきたいのです。
ただ、問題になるとしたら以下の場合です。
Aさん=バカにしてくる相手に負けてはいけない!という思いからスピード違反になったり、危険運転に至る。そのイライラを職場や家庭に持ち込み周囲を嫌な雰囲気にさせる。
Bさん=自責のあまり、運転するたびに手が震えてしまう、気持ちが落ちてしまい食欲や睡眠に影響が出始める。
これは、その状況に対する反応だけではなく、反応を引きずって日常生活全体にも悪影響が出てしまっています。これではあなたが普段どれだけ周りから愛されていたとしても、きっと生きにくくなってしまうでしょう。
・状況への自分の反応を、考え、気持ち、身体の感覚、行動に分けて考える
・人それぞれ捉え方は様々であり優劣はない
・自分の反応が日常生活全体に悪影響が出ていないか考える
心の癖を変化させる
状況への考え、気持ち、身体の感覚、行動に分割して心の反応についてみてきました。
ここまで読んできて「ぎくっ」と思った方もいるかもしれません。
ここからは、自分の心の癖を変えていくための方法について考えていきましょう。
●意識して変えられるのは2つだけ!
癖を変えるためには、何かを変えなければずっと現状維持のままです
今まで見てきた、考え、気持ち、身体感覚、行動のうち意識して変えられるものはなんでしょうか?
それは、考えと行動と言われています。
よく「もっと楽観的に考えなよ」とか「とりあえず行動して見たら?」と言ったこと言われたことはありませんか?これは考えや行動を変化させようという関わりです。でも悲しい時に「楽しい気持ちになりなよ」と直接気持ちの変化を求められるというのは変な感じがしますよね。この感覚、実は心理学的に正しいのです。
気持ち(感情)と身体感覚は意識的に変化させる事はとても難しいのです。それよりも考え方を変えたり、その気持ちになった時にいつもと違う行動をしてみるという方が取り組みやすそうですよね。
ストレスがかかったりネガティブな状況ではついつい、不健康で極端な考えや行動パターンになりがちです。そこについて変化の余地がないか考えてみましょう。
・考え、気持ち、身体の感覚、行動のうち、意識的に変えられるのは考えと行動!
ついつい出ちゃう不健康な考え3
ここでは、ストレスがかかった時におちいりがちな不健康な考えをご紹介します。
- ①完璧主義
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「~すべき」「普通は~なのに」「こんなことはおかしい」「常識的に考えて~」等のキーワードが出てきたら、この完璧主義の癖が出ているかもしれません。
- ②極端な思考
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「良いか悪いか」「善か悪か」「やるかやらないか」と言った白黒はっきりさせることに躍起になったり、しっかりした理由がないままに感情のまま結論を出すこと、たった一つのネガティブを全てに当てはめて考えることなどがこれにあたります。
- ③過度な自責感
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全ての原因を自分に向け罪悪感に苛まれたり、自信のなさから失敗を拡大し、成功を小さく捉えることなどがこれにあたります。
先ほど出てきたAさんは、「極端な思考」が強いようです。Bさんは「過度な自責感」が強そうですね。このように、状況に対して、ほぼ全自動で無意識的に自分の癖のパターンにハマっていきます。
自分の癖との付き合い方
良くも悪くも、癖というのは必要があったから生まれてきて、必要があるから存在しています。変化だけが前進ではありません。自分はストレスやネガティブな事に対してこういうふうに考える癖がある、と知っているだけでも認識は変化します。「出た出た、いつもの私の癖だわ」と自分を観察するのも良いですね。暴走しないように癖を管理して、付き合うというスタンスもアリです。
ついつい出ちゃう不健康な考え3つを紹介しました。あなたはどれが近いですか?
その考えに対して反論を考えましょう。ここで大事なことは、気持ちが落ち着いている時に反論を考えるという事です。ストレスやネガティブな状況下では癖の渦に巻き込まれます。不健康な考えが出ている時の自分はもはや他人である、くらい距離感を持っている方が良かったりもします。
例えば、「〜すべきである」→「本当だろうか?自分より立派な人の中にもそれができていない人はたくさんいる」
「自分は失敗ばかりするダメ人間」→ほんの少しだったらできていることもある。誰かに大きな不幸が訪れるような失敗はしていない
反論を考えられたらそれを確かめる行動を起こしてみるのも良いでしょう。
また問題を細分化して考え直したり、他者に助けを求めるというのも良い行動と言えます。
例えば、「自分は失敗ばかりするダメ人間」→知人友人先輩後輩に自分の長所について聞いてみる
「こんなに仕事を押し付けてくる上司は自分を退職に追い込んでいるに違いない」→自分の今の仕事状況について整理して話しやすい先輩に相談をしてみる
・癖は必ずしも変えなければいけないわけではない
・反論を考えたり行動をすることで、今までの癖のパターンと違う流れを意図的に作る
まとめ
ストレスやネガティブな状況下ではそれに立ち向かったり対処するのに精一杯で自分の内面には意識が向きにくくなります。自分自身との付き合い方って一番難しいのかもしれません。何か参考になるものがあれば、日常生活で試してみてください。
皆さんの理解の一助になれば幸いです。
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